この記事でわかること
- 給料が未払いのときは、労働基準監督署に相談できます。賃金は労働基準法という法律で守られています。
- 寮を出ていくよう急かされても、契約の内容次第では、今日すぐに出ていく義務がない場合があります。
- 会社が倒産したり連絡が取れなくなった場合でも、未払賃金立替払制度という国の救済制度があります。
- 一人で会社に抗議しないでください。雇用契約書、給与明細、やり取りの記録を残すことが、何よりも大切です。
- 制度の金額や窓口の情報は変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。

給料未払い・退去トラブルが起きたら、今すぐやること
給料が払われない。寮も出ていけと言われている。そんなときは、気持ちが焦ります。でも、慌てて動く前に、まずやることがあります。
証拠を残す
一番大切なのは、証拠です。証拠がないと、後で「言った・言わない」の話になります。
残しておきたいものは、次のとおりです。
- 雇用契約書、労働条件通知書(もらっていない場合は、その旨も記録)
- 給与明細(過去のものも含めて全部)
- 出勤記録、タイムカードの写真
- 会社とのやり取り(LINE、メール、SMSのスクリーンショット)
- 「いつ、誰に、何を言われたか」のメモ(日付・時刻・場所も書く)
スマホの写真やスクリーンショットは、クラウドやメールなど、会社の管理下にない場所にも保存してください。会社から貸与された端末だけに保存するのは危険です。
会社に事実確認をする
証拠を残したら、会社に確認してください。「いつ払われるのか」を、はっきり聞きます。
できれば、口頭ではなく、文章で聞いてください。LINEやメールなら、そのやり取り自体が証拠になります。
このとき、感情的に抗議しないでください。一人で強く抗議すると、話がこじれることがあります。事実の確認に徹してください。
一人で抱え込まない
給料が未払いでも、あなたが悪いわけではありません。一人で抗議したり、我慢したりしないでください。
次の章で紹介する、公的な相談先に早めに連絡することが、状況を変える近道です。
給料は法律でどう守られている?寮の退去にもルールはある?
給料は法律で守られている
給料が未払いのままなのは、おかしいことです。賃金の支払い方法は、法律で決まっています。正式には、労働基準法第24条の「賃金支払いの5原則」といいます。
- 通貨で払うこと(現金、または本人の同意を得た口座振込など)
- 本人に直接払うこと
- 全額を払うこと(勝手に一部を引いてはいけない)
- 毎月1回以上払うこと
- 決まった日に払うこと
会社がこのルールを守らないと、法律違反になります。「うちはそういう決まりだから」は、理由になりません。

寮からの退去にも、ルールがある可能性がある
「今すぐ出ていけ」と言われても、必ずしもその通りにする必要はありません。
雇用契約と、寮に住むための契約は、別のものです。寮の家賃が、周辺の家賃相場に近い金額の場合、借地借家法という法律による保護の対象になる可能性があります。この法律が適用される場合、会社が一方的に「今日出ていけ」と決めることは、簡単にはできません。
一方で、家賃が相場よりかなり安い「格安の社宅」のような扱いの場合は、この法律が適用されないケースもあります。どちらに当たるかは、家賃の金額や契約書の内容によって変わります。自分で判断せず、後述の相談先や、弁護士・法テラスに確認してください。
さらに、どちらのケースでも共通する大切なルールがあります。会社が、あなたに無断で鍵を交換したり、荷物を勝手に運び出したりすることは、原則として法律違反です。正式には「自力救済の禁止」という考え方です。たとえ家賃を滞納していても、裁判所の手続きを踏まずに、実力で追い出すことは認められていません。
- 今日すぐに追い出されそうな場合:「鍵を変える」「荷物を出す」と言われても、応じる前に一度、後述の相談窓口に電話してください。
- 契約内容がわからない場合:契約書を確認できるまで、大きな決断をしないでください。

最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。個別の契約内容によって結論が変わるため、心配な場合は必ず専門家に相談してください。
会社が倒産・連絡不能でも使える救済制度
会社が倒産してしまった、あるいは社長や担当者と連絡が取れなくなった。そんな場合でも、あきらめる必要はありません。
やさしく言うと、「国が代わりに、未払いの給料の一部を立て替えて払ってくれる制度」があります。正式には、未払賃金立替払制度といいます。労働者健康安全機構(JOHAS)という組織が運営しています。
- 対象になるのは、会社が倒産して、賃金が支払われないまま退職した人です
- 立て替えの対象になるのは、退職日の6か月前から、機構への請求日の前日までに支払期日が来ている「定期賃金」と「退職手当」です
- 未払いの総額が一定の金額(少額)に満たない場合は対象外になります
- 請求できる期間には期限があります。倒産の種類によって、起算日や期間が異なります
金額の上限や条件、請求の期限は、時間とともに変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
どこに相談すればいい?(相談窓口まとめ)
総合労働相談コーナー
まず電話しやすいのは、総合労働相談コーナーです。やさしく言うと、「あらゆる労働問題を、まとめて聞いてくれる無料の窓口」です。
各地の労働局や労働基準監督署の中にあります。電話でも、直接訪問でも相談できます。利用は無料です。
労働基準監督署
給料の未払いが事実として確認できたら、労働基準監督署にも相談できます。やさしく言うと、「会社が法律を守っているか調べて、指導してくれる役所」です。
証拠を持って相談すると、会社への指導や調査につながることがあります。これを、正式には「申告」といいます(労働基準法第104条)。
受付時間は、平日の日中が基本です。地域ごとに窓口・電話番号が異なります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
夜間・休日でも相談したいとき
日中は仕事や求職活動で身動きが取れないこともあります。そういうときのために、夜間・休日に電話できる相談窓口もあります。正式には、労働条件相談ほっとラインといいます。
住まいに困ったとき
寮を出ることになりそうで、次の住まいのあてがない。そんなときは、住まいの相談窓口も使ってください。
やさしく言うと、「住むところがない人に、一時的な宿泊場所を提供してくれる制度」です。正式には、一時生活支援事業といいます。生活困窮者自立支援制度の一部として、市区町村の窓口や委託先で相談できます。
対象や利用できる期間は、自治体によって違います。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
相談前に準備しておきたいもの
相談に行くときは、次のものを持っていくと話がスムーズです。
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 給与明細(できるだけ複数月分)
- 出勤記録、タイムカードの写真やコピー
- 会社とのやり取りの記録(LINE、メール、SMSのスクリーンショット)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 「いつ、誰から、何を言われたか」を書いたメモ
すべて揃っていなくても、相談はできます。まずは電話や窓口で聞いてみてください。「何もない」状態でも、記憶をメモに残すだけで十分な材料になります。
ここだけは注意
給料の未払いや、急な退去の要求は、法律に反している可能性があります。ただし、契約の内容や状況によって、結論が変わることがあります。本記事の内容だけで、個別のケースの適法・違法を判断しないでください。
会社に強く抗議したくなる気持ちは、当然です。ですが、一人で強く抗議すると、話がこじれたり、危険な状況になったりすることがあります。必ず、公的な窓口や専門家を間に入れてください。
未払賃金立替払制度は、会社が「事実上、あるいは法律上、倒産した」と認められる場合に使える制度です。会社が単に「支払いを渋っている」だけの状態では、対象にならないことがあります。まずは労働基準監督署や総合労働相談コーナーに、状況を確認してもらってください。
制度名・金額・窓口の情報は、時間が経つと変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
対象外だった場合の代替案
紹介した制度の対象にならない場合や、今すぐ現金が必要な場合もあります。そのときは、次のことも考えてみてください。
- 法テラス(日本司法支援センター)に、無料相談できないか聞いてみる
- 弁護士に、未払い賃金の請求について相談する(費用が心配な場合は、法テラスの民事法律扶助制度を確認する)
- 家族や知人に、一時的な宿泊先や、少額の支援を頼めないか相談する
- お住まいの市区町村の生活困窮者自立支援制度の窓口で、当面の生活費や住まいについて相談する
一人で決めずに、まず誰かに相談してください。相談すること自体は、無料でできます。
よくある質問
Q. 給料の未払いは、どこに相談できますか?
A. 労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。証拠を持って相談すると、会社への指導や調査(申告)につながることがあります。
Q. 会社にすぐに寮を出るよう言われたら、応じるべきですか?
A. 必ずしもその通りにする必要はありません。会社が無断で鍵を交換したり荷物を運び出すことは「自力救済の禁止」により原則違法です。応じる前に相談窓口に連絡してください。
Q. 会社が倒産して給料が払われない場合はどうなりますか?
A. 未払賃金立替払制度により、国(労働者健康安全機構)が未払い給料の一部を立て替えて払ってくれる場合があります。
Q. 相談する前に何を準備すればいいですか?
A. 雇用契約書、給与明細、出勤記録、会社とのやり取りの記録などです。すべて揃っていなくても、メモを残すだけで相談は可能です。
本記事は2026年8月時点の情報を基に、再起堂編集部が公開前に内容を確認しています。制度名・金額等は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイト・窓口でご確認ください。
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