この記事でわかること
- 家賃を滞納しても、その日のうちに追い出されることはありません。裁判所の手続きが必要です。
- 一般的には、3ヶ月前後の滞納が続くと、契約解除や裁判の対象になりやすいと言われています。
- 滞納が続くと、連帯保証人や保証会社に連絡がいきます。代わりに家賃を払ってもらっている場合、後でその分を請求されます。
- 滞納している今の段階でも、止める方法があります。住居確保給付金や、自立相談支援機関への相談、大家さんとの分割交渉です。

家賃滞納から強制退去まで、実際の流れと期間の目安
流れは、だいたい次のようになります。
- 家賃の支払い日を過ぎると、大家さんや管理会社から連絡が来ます。電話や、はがきでの督促です。
- 滞納が2〜3ヶ月ほど続くと、「契約解除通知」が届くことがあります。内容証明郵便という、記録が残る方法で送られてくることが多いです。
- それでも解決しない場合、大家さんが裁判所に訴えを起こします。正式には、建物明け渡し請求訴訟といいます。
- 裁判所で話し合い(和解)がまとまるか、判決が出ます。
- それでも部屋を出ない場合、最後に強制執行が行われます。裁判所の執行官が来て、荷物を運び出す手続きです。
ここで、大事なことがあります。大家さんが、裁判所を通さずに勝手に鍵を替えたり、荷物を外に出したりすることは、違法です。正式には、自力救済の禁止といいます。たとえ家賃を滞納していても、あなたには裁判所の手続きを受ける権利があります。「今すぐ出て行け」「鍵を替えた」と言われても、慌てて部屋を明け渡す必要はありません。まず、後述の「相談先」に書いてある窓口に相談してください。
全体でかかる期間は、事案によって差があります。一般的には、滞納が始まってから強制執行が終わるまで、5〜7ヶ月ほどかかると言われています。最短でも、半年近くかかることが多いようです。
内訳の目安は、次のとおりです。
- 督促(電話・書面):滞納した翌月から
- 契約解除通知:滞納が1〜3ヶ月続いたころ
- 訴訟の提起:契約解除通知から1ヶ月ほど
- 判決・和解:訴訟提起から1〜2ヶ月ほど
- 強制執行:判決・和解から1〜2ヶ月ほど
これらの期間は、あくまで一般的な目安です。裁判所の混み具合や、大家さんの対応、話し合いの内容によって、もっと早まることも、遅くなることもあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
一方で、契約が解除される目安についても、知っておいてください。一般的には、3ヶ月分以上の滞納があると、「信頼関係が壊れた」と判断されやすくなります。これは、法律の条文に「3ヶ月」と書いてあるわけではありません。過去の裁判例などから、目安として言われている数字です。1〜2ヶ月の滞納だけで、すぐに契約解除・強制退去になることは、通常はありません。「まだ間に合うのか」と不安な方は、滞納が3ヶ月に達する前に動くことを、強くおすすめします。
保証会社・連帯保証人にはどう影響する?
家賃を滞納すると、あなた以外の人にも連絡がいきます。
賃貸契約を結ぶとき、保証会社をつけている場合が多いです。滞納が続くと、保証会社が大家さんに家賃を立て替えて払います。正式には、代位弁済といいます。その後、保証会社があなたに、立て替えた分の返済を求めてきます。連絡を無視し続けると、保証会社からの取り立てが厳しくなったり、信用情報に影響が出たりすることがあります。
連帯保証人がいる場合は、その方にも連絡がいきます。連帯保証人は、あなたの代わりに家賃を払う義務を負っている人です。親や親族に連絡がいくことを心配して、相談をためらう方もいます。ですが、連絡が遅れるほど、連帯保証人への負担も大きくなりやすいです。早めに状況を伝え、後述の相談先にも一緒に相談することをおすすめします。

今日、滞納に気づいたらまずやること
滞納に気づいたら、今日中に動いてください。時間が経つほど、選べる方法は少なくなります。
1つ目。大家さんか、管理会社に連絡してください。「家賃が払えていません」と伝えるだけで大丈夫です。理由と、いつ頃なら払えそうかも伝えましょう。分割払いや、支払い期限の延長に応じてもらえることがあります。
2つ目。お住まいの自立相談支援機関に相談してください。これは、生活に困っている人を支える公的な窓口です。正式には、生活困窮者自立支援制度の相談窓口といいます。電話一本で、今日から相談できます。
3つ目。裁判所からの書類が届いたら、絶対に無視しないでください。「支払督促」や「訴状」が届くことがあります。無視すると、あなたの言い分を聞かれないまま、判決が出てしまうことがあります。正式には、欠席判決といいます。書類が届いたら、指定された期限内に必ず対応してください。どう対応すればよいかわからないときは、後述の相談先にすぐ連絡してください。
黙って我慢しないでください。相談は無料です。
滞納を止めるために使える制度(住居確保給付金など)
滞納している今の段階でも、使える制度や選択肢があります。
住居確保給付金
家賃を助けてもらえる制度があります。正式には、住居確保給付金といいます。
この制度では、家賃と同じくらいの金額を、原則としてあなたの代わりに大家さんへ直接払ってもらえます。支給される期間は、原則3ヶ月です。状況によっては、最長9ヶ月まで延びることがあります。
対象になる人には、条件があります。
- 仕事を辞めたり、廃業してから2年以内であること
- または、自分のせいではない理由で、収入が減っていること
- 世帯の収入や預貯金が、決められた金額を超えていないこと
この基準額は、住んでいる市区町村によって違います。また、原則として、求職活動も条件になります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
すでに滞納している分への対応
住居確保給付金は、これから先の家賃を助ける制度です。すでに滞納している分(延滞している家賃そのもの)は、対象にならないことが多いです。滞納分については、大家さんへの分割払いの相談や、次に紹介する貸付制度をあわせて検討してください。
一時的にお金を借りられる制度もあります。正式には、生活福祉資金貸付制度といいます。窓口は、自立相談支援機関や、社会福祉協議会です。借りたお金は、後で返す必要があります。利用できるかどうかは、審査があります。

大家さんとの分割交渉
大家さんに、直接、分割払いをお願いする方法もあります。すでに大家さんとの関係がこじれている場合は、自立相談支援機関の担当者に、間に入ってもらえないか相談してみてください。第三者が入ることで、話し合いがまとまりやすくなることがあります。
相談先(自立相談支援機関・弁護士・法テラス)
まずは、お住まいの自立相談支援機関に相談してください。市区町村ごとに窓口があります。住居確保給付金の相談も、ここでできます。
福祉事務所でも相談できます。生活保護の相談も含めて、幅広く相談に乗ってもらえます。生活保護を利用できるかどうかは、別途、審査があります。
裁判所から書類が届いてしまった場合や、大家さんとの話し合いが難しい場合は、法律の専門家に相談してください。正式には、弁護士や司法書士といいます。お金に余裕がなくても相談できる窓口があります。正式には、法テラス(日本司法支援センター)といいます。収入などの条件を満たすと、弁護士費用の立て替え制度を利用できる場合があります。
電話番号や受付時間は、窓口によって違います。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
相談時に持っていきたいもの
相談に行くときは、次のものがあると話がスムーズです。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 賃貸借契約書(家賃や部屋の情報がわかるもの)
- 収入がわかるもの(給与明細、離職票など)
- 預貯金がわかるもの(銀行の口座情報)
- 大家さんや管理会社からの督促状・契約解除通知・裁判所からの書類(届いている場合は、すべて)
すべて揃っていなくても、相談はできます。特に、裁判所からの書類は、コピーでよいので必ず持って行ってください。まずは電話や窓口で聞いてみてください。
強制執行までに知っておきたい注意点
滞納しても、その日のうちに追い出されることはありません。必ず、裁判所を通した手続きが必要です。大家さんが、裁判所の手続きなしに鍵を替えたり、荷物を運び出したりすることは違法です。正式には、自力救済の禁止といいます。もしそのようなことをされたら、一人で抱え込まず、すぐに自立相談支援機関や弁護士、法テラスに相談してください。
一方で、裁判所からの書類を無視するのは危険です。何も対応しないまま期限を過ぎると、あなたの言い分が聞かれないまま判決が出ることがあります。結果として、強制執行までの期間が早まってしまうこともあります。
強制執行になった場合、荷物の運び出しや保管にかかる費用を、後から請求されることがあります。費用の金額は事案によって異なります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
住居確保給付金は、現金で手元に入るわけではありません。原則として、大家さんや管理会社に直接支払われます。また、すでに滞納している家賃そのものを、さかのぼって埋めてくれる制度ではないことにも注意してください。
制度の内容や金額、期間の目安は、法律や自治体のルール、個別の事情によって変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。
それでも難しい場合の代替案
制度の対象にならない場合や、すでに訴訟が進んでしまっている場合もあります。そのときは、次のことも考えてみてください。
- 大家さんに直接、支払いの延期や分割、退去時期の相談をする
- 家族や知人に、一時的に助けてもらえないか相談する
- 弁護士や司法書士、法テラスに、裁判所での手続きへの対応を相談する
- 今より家賃の低い住まいへの引っ越しを検討する
- 住まいを失いそうな場合は、一時的な宿泊先(シェルターなど)についても、自立相談支援機関に相談する
一人で決めずに、まず誰かに相談してください。早めに相談するほど、選べる選択肢は多く残ります。
よくある質問
Q. 家賃を滞納すると、その日のうちに追い出されますか?
A. いいえ。裁判所の手続きが必要で、大家さんが無断で鍵を替えたり荷物を運び出すことは違法(自力救済の禁止)です。
Q. どのくらい滞納すると契約解除・強制退去になりやすいですか?
A. 一般的には3ヶ月分以上の滞納があると「信頼関係が壊れた」と判断されやすくなるとされています。1〜2ヶ月の滞納だけで、すぐに強制退去になることは通常はありません。
Q. 滞納から強制執行まで、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的には5〜7ヶ月ほどかかると言われています。督促、契約解除通知、訴訟、判決・和解、強制執行という段階を踏みます。
Q. 住居確保給付金で、すでに滞納している家賃も助けてもらえますか?
A. いいえ。住居確保給付金はこれから先の家賃を助ける制度で、すでに滞納している分は対象にならないことが多いです。滞納分は大家さんとの分割交渉や貸付制度の検討が必要です。
本記事は2026年8月時点の情報を基に、再起堂編集部が公開前に内容を確認しています。制度名・金額等は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイト・窓口でご確認ください。
関連リンク





