この記事でわかること
- 生活保護は、原則として自動車を持ったままでは受けられません。正式には「資産活用の原則」といい、車は売って生活費にあてるべき「資産」として扱われるからです。
- ただし、通院や通勤、公共交通機関が少ない地域に住んでいるなどの事情があれば、例外的に車の保有が認められることがあります。
- 預貯金や生命保険なども、車と同じように「資産」として申告する義務があります。
- 「車があるから自分は対象外だ」と自己判断しないでください。例外に当てはまるかどうかは、福祉事務所への相談で初めてわかります。

結論:車があっても、まず福祉事務所に電話してください
車を持っていると、生活保護を諦めてしまう人がいます。でも、それは早すぎます。
まずやることは、ひとつだけです。お住まいの福祉事務所に電話をかけてください。「車を持っているが、生活保護を利用できるか」とだけ聞けば大丈夫です。
窓口の名前は自治体によって違います。「福祉課」「生活支援課」「保護課」などです。名前がわからなければ、市区町村の代表番号にかけて「生活保護の相談をしたい」と伝えれば、担当窓口につないでもらえます。
電話が苦手なら、直接窓口に行っても構いません。予約が必要な自治体もあります。最新の受付方法・受付時間は、必ずお住まいの自治体の公式サイトで確認してください。
この電話一本で、あなたが例外に当てはまるかどうかがわかります。車があるからと決めつけて相談をやめてしまうのが、いちばんもったいないことです。
車は「資産」?原則と3つの例外
原則:車は「資産」として処分が求められます
生活保護には、大切なルールがあります。困っている人が持っている財産や能力を、まず生活のために使ってください、というルールです。正式には「資産活用の原則」といいます。生活保護法という法律の第4条に書かれています。
車は、多くの場合、売ればお金になります。ですから原則として、生活保護を申請する前に、車は処分することが求められます。
預貯金や生命保険も同じです。すぐに使えるお金や、解約すればお金になるものは、まず生活費として使うことが求められます。
この原則だけを見ると、「車を持っている自分は無理だ」と思ってしまうかもしれません。でも、次に説明する例外があります。あきらめる前に、必ず読み進めてください。
例外1:通院のために車が欠かせない場合
病気やけがで、定期的に病院に通わなくてはいけない人がいます。電車やバスでは通院が難しい場合、車の保有が認められることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 体が不自由で、公共交通機関を使うこと自体が難しい
- 救急搬送が必要になるような持病があり、すぐに動ける手段が要る
- 障害があり、通院に車が欠かせない
障害のある方やそのご家族が、日常生活に必要な買い物などのために、認められた車を使うことを一部認める国の通知も出ています。ただし、対象になる範囲は個別の事情によって変わります。この運用が自分に当てはまるかどうかは、必ず福祉事務所に確認してください。

例外2:公共交通機関の利用が著しく難しい地域に住んでいる場合
電車やバスがほとんど通っていない地域があります。そうした地域で暮らしていて、通勤や通学、通院に車が欠かせない場合も、例外として保有が認められることがあります。
「田舎だから車がないと生活できない」という事情は、審査のときにきちんと考慮されます。地域の交通事情は、住んでいる場所によって大きく違います。具体的にどこまで認められるかは、自治体ごとの判断になります。必ず窓口で相談してください。
例外3:就労のために車が必要で、自立につながる場合
仕事をするために、どうしても車が必要な人もいます。通勤先が交通の便の悪い場所にある場合や、車を使う仕事に就く予定がある場合です。
このようなケースでは、車を持ったまま働くことが、生活保護から早く抜け出す(自立する)ことにつながると判断されれば、保有が認められることがあります。
ここでも大事なのは、「自分で無理だと決めない」ことです。仕事の内容や通勤の事情を、そのまま福祉事務所に伝えてください。
預貯金・生命保険なども「資産」として申告が必要です
車だけでなく、次のようなものも資産として申告する義務があります。
- 預貯金、現金
- 生命保険、学資保険(解約すればお金になるもの)
- 土地、建物
- 有価証券など
「申告すれば必ず全部なくなる」というわけではありません。少額の預貯金や、解約返戻金が少ない保険などは、保有が認められる場合があります。ただし、いくらまでなら認められるかは、地域や世帯の状況によって変わります。断定的な金額はここでは書けません。必ず福祉事務所に確認してください。
大切なのは、資産を隠さないことです。申告し忘れたり、あえて申告しなかったりすると、あとで保護費の返還を求められることがあります。正直に申告したうえで、相談することが結果的に近道になります。
バイク・自転車は車と同じ扱い?
自転車は、価格が安く、維持費もほとんどかかりません。そのため「資産」とはみなされず、生活保護を受けながら持ち続けることができます。
バイクは、車と同じように資産として扱われるのが原則です。ただし、排気量の小さい原付バイク(一般的には125cc以下)については、通勤などの目的で例外的に保有が認められる場合があります。
車が難しくても、地域の事情によっては原付バイクや自転車が現実的な移動手段になることもあります。排気量の基準や運用は自治体によって違うため、必ず窓口で確認してください。

相談先(福祉事務所)に伝えるべきこと
生活保護の相談・申請の窓口は、お住まいの市区町村の福祉事務所です。名称は自治体によって「生活支援課」「保護課」「福祉課」など、さまざまです。
- 窓口:お住まいの市区町村の福祉事務所
- 相談方法:電話、来所(直接窓口に行くこと)、自治体によってはオンライン相談を受け付けている場合もあります
- 費用:相談は無料です
電話番号や受付時間は自治体ごとに違います。必ず公式サイト・窓口で最新情報を確認してください。
車の保有について相談するときは、次の情報を伝えるとスムーズです。
- 車が必要な理由(通院、通勤、地域の交通事情など)
- 車種、年式、大まかな価値
- 収入や預貯金などの状況
必要書類は自治体ごとに多少異なるため、お住まいの市区町村の福祉事務所に事前に確認してください。
申請までに準備するもの
申請までに、次のような書類の準備を求められることが一般的です。実際の様式や必要書類は自治体によって異なります。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入がわかるもの(給与明細、年金の通知書など)
- 預貯金通帳の写し
- 車検証の写し、自動車税の納税証明書など、車に関する書類
- 賃貸借契約書(賃貸に住んでいる場合)
- 資産申告書(福祉事務所で渡される様式)
これらは、面談を進める中で担当のケースワーカーから案内があります。すべてを最初から自分でそろえる必要はありません。わからないことは、その場で質問してください。
必要書類の正式な一覧は、必ず窓口で最新のものを確認してください。

資産を申告する上での注意点
- 車の保有が認められる場合でも、使い方に制限がつくことがあります。たとえば、遠出のドライブなど生活に必要のない用途では使えない、といった条件です。
- 保有が認められなかった場合、すぐに車を手放さなければいけないわけではありません。処分までに一定の猶予期間が設けられるのが一般的です。猶予期間の長さは自治体の判断によります。窓口で確認してください。
- 資産を申告しないまま保護を受けると、あとで不正受給とみなされ、保護費の返還を求められることがあります。正直な申告が何より大切です。
- ここに書いた内容は一般的な考え方です。実際の判断は、あなたの状況、住んでいる自治体、担当のケースワーカーによって変わります。この記事だけで判断せず、必ず福祉事務所に相談してください。
車を諦める前に検討したい代替案
福祉事務所に相談した結果、今すぐ生活保護は難しいと言われることもあります。そのときも、あきらめないでください。ほかにも使える制度があります。
- 住居確保給付金:家賃を助けてもらえる制度です。仕事を失った人などが対象です。最新の条件・金額は公式サイト・窓口で確認してください。
- 社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度:一時的な生活費や、就職活動に必要な費用を借りられる制度です。貸付条件は社会福祉協議会の窓口で確認してください。
- 自立相談支援機関:生活に困ったときの、総合的な相談窓口です。生活保護以外の選択肢も一緒に考えてくれます。
車を手放したくない場合でも、通院や通勤の事情次第で、保護を受けながら車を持てる可能性はまだ残っています。一度断られても、状況が変わったときに、もう一度相談し直すことができます。

よくある質問
Q. 車を持っていると生活保護は絶対に受けられませんか?
A. いいえ。原則は資産として処分が求められますが、通院・通勤や公共交通機関が少ない地域に住んでいるなどの事情があれば、例外的に保有が認められることがあります。
Q. 自転車も資産として扱われますか?
A. いいえ。自転車は価格が安く維持費もほとんどかからないため、資産とはみなされず持ち続けることができます。
Q. バイクはどう扱われますか?
A. 原則は車と同じく資産として扱われますが、排気量の小さい原付バイク(一般的に125cc以下)は通勤などの目的で例外的に保有が認められる場合があります。
Q. 車の保有が認められなかった場合、すぐに手放さないといけませんか?
A. 処分までに一定の猶予期間が設けられるのが一般的です。猶予期間の長さは自治体の判断によるため窓口で確認してください。
本記事は2026年8月時点の情報を基に、再起堂編集部が公開前に内容を確認しています。制度名・金額等は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイト・窓口でご確認ください。
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