この記事でわかること
- 督促状を無視し続けると、裁判所からの「支払督促」や「訴訟」に発展し、給与や口座の差し押さえに至ることがあります。
- 差し押さえの前には、必ず裁判所を通じた手続きが入ります。この段階で対処すれば、止められる可能性があります。
- 督促状が来た時点で、無料の法律相談を受けられます。窓口の例が、法テラス(日本司法支援センター)です。
- 督促を無視すればするほど、選べる選択肢は狭くなります。今日、動くことが大切です。

督促状・支払督促・訴状の違いを見分ける
督促状が届くと、「もう差し押さえられるのでは」と不安になります。ですが、督促状と差し押さえの間には、まだいくつかの段階があります。落ち着いて、順番を確認しましょう。
まず、言葉の意味を整理します。
督促状とは、お金を貸した会社(債権者)が送る「お願いの手紙」です。正式な法律用語ではありません。督促状には、支払いを強制する力はありません。ですが、放置してよいわけではありません。督促状には、時効の完成を6か月間止める効果があるとされています。時効を理由に支払いをやめようと考えている場合は、必ず専門家に相談してください。
一方、支払督促(しはらいとくそく)は、まったく別のものです。これは、裁判所が送る正式な書類です。債権者が裁判所に申し立てて、裁判所があなたに送ります。支払督促は、普通郵便では届きません。「特別送達」という方法で、本人や家族が直接受け取る形で届きます。
さらにその先には、訴状(そじょう)が届く場合もあります。これは、裁判(訴訟)が始まったことを知らせる書類です。
つまり、届いた書類が「督促状」なのか「支払督促」「訴状」なのかで、対応の緊急度がまったく違います。差出人が会社や個人なら督促状、差出人が「〇〇簡易裁判所」「〇〇地方裁判所」なら、支払督促か訴状です。封筒や書類の見た目で迷ったら、裁判所「支払督促」の解説ページも参考にしてください。
最新の制度内容や手続きの詳細は、変わることがあります。必ず公式サイト・窓口で確認してください。
差し押さえまでの流れと、支払督促「2週間」の期限
差し押さえは、ある日突然やってくるわけではありません。次のような段階を踏みます。
- 督促状が届く(債権者からの請求)
- 督促の電話・督促状が繰り返される
- 裁判所から支払督促、または訴状が届く
- 支払督促に異議を出さない場合、仮執行宣言付支払督促が届く
- 仮執行宣言付支払督促、または判決が確定する(これが「債務名義」になります)
- 裁判所を通じて、強制執行(差し押さえ)が申し立てられる
- 給与・預金口座などが差し押さえられる
ここで大事なのは、6の「強制執行」に進む前に、必ず5の「債務名義」が必要という点です。債務名義とは、裁判所が認めた「支払い義務があること」の証明書のようなものです。確定判決や、仮執行宣言付の支払督促、公正証書などが債務名義にあたります。
つまり、裁判所の手続きを何も経ずに、いきなり給料や口座が差し押さえられることはありません。督促状の段階、あるいは支払督促・訴状が届いた段階できちんと対応すれば、差し押さえを止められる可能性が十分にあります。

ここが、この記事でいちばん伝えたいポイントです。督促状と違い、支払督促・訴状には「対応の期限」があります。
支払督促が届いた場合、受け取ってから2週間以内に、裁判所へ「督促異議」を申し立てる必要があります。この期限内に異議を出さないと、債権者側が「仮執行宣言」を申し立てることができます。仮執行宣言が付いた支払督促は、確定判決とほぼ同じ効力を持ちます。ここまで来ると、給与や口座の差し押さえに進める段階になります。
さらに、仮執行宣言付支払督促が届いてからも、送達日から2週間以内であれば、まだ異議を申し立てられます。この期限を過ぎると、支払督促の内容が確定してしまいます。
訴状が届いた場合は、指定された期日までに答弁書を提出し、裁判所に出頭(または対応)する必要があります。無視して裁判を欠席すると、相手の言い分どおりに判決が出てしまうことがあります(欠席判決)。
つまり、「2週間」という数字を覚えておいてください。支払督促が届いたら、2週間以内に動く。これが、選択肢を残すための最初の一歩です。
期限や制度の細かい要件は、法改正や個別の事情で変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。

督促状が届いたら、今日中にやること
督促状や支払督促が届いたら、今日中に、次のことをやってください。
- 書類の差出人を確認する。会社・個人からの督促状か、裁判所からの支払督促・訴状かを見分けます。
- 書類に書かれた日付と期限を確認する。特に支払督促は「2週間」の期限があります。カレンダーに書き込みましょう。
- 書類を捨てない。すべて保管してください。相談するときに必要です。
- 一人で抱え込まない。無料で相談できる窓口があります。後述の相談先を確認してください。
- 電話勧誘や訪問での即決を避ける。その場でお金を払ったり、書類にサインしたりしないでください。
督促状が届いた段階でも、支払督促・訴状が届いた段階でも、まだ選択肢は残っています。ただし、時間が経つほど、選べる手段は減っていきます。今日、動き出すことが、将来の自分を助けます。

差し押さえを止める方法(債務整理・特定調停など)
差し押さえを止める、または回避するための方法があります。状況に応じて、いくつかの選択肢を組み合わせられます。
督促異議を申し立てる
支払督促の内容に納得できない場合や、身に覚えがない場合、金額が違う場合は、期限内に督促異議を申し立てます。異議を申し立てると、通常の裁判(訴訟)に移ります。裁判の中で、支払い義務の有無や金額を争うことができます。
債務整理をする
借金の支払いが難しいときに、法律の手続きで負担を減らす方法です。正式には、債務整理(さいむせいり)といいます。主に次の3種類があります。
- 任意整理: 弁護士や司法書士が、債権者と直接交渉して、利息のカットや返済計画の見直しを行う方法です。裁判所を通しません。
- 個人再生: 裁判所を通じて、借金を大きく減らし、原則3年(最長5年)で分割払いする方法です。住宅を残せる場合があります。
- 自己破産: 裁判所を通じて、支払い義務そのものをなくす方法です。財産の一部を手放す必要があります。
どの方法が合うかは、借金の金額、収入、財産の状況によって変わります。専門家に相談して決めることをおすすめします。

債権者と直接、分割払いの交渉をする
弁護士に依頼する前に、自分で債権者に連絡して、分割払いを相談できる場合もあります。ただし、交渉には知識が必要です。不利な条件で合意してしまうリスクもあります。可能であれば、無料相談で専門家に一度確認してから交渉することをおすすめします。
特定調停を利用する
簡易裁判所で行う話し合いの手続きです。正式には、特定調停(とくていちょうてい)といいます。裁判所の調停委員が間に入り、債権者との返済条件の見直しを進めます。弁護士に依頼しなくても、比較的低い費用で利用できます。
利用できる制度や条件は、法改正や個々の事情で変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。

無料で相談できる窓口はどこ?
一人で判断せず、まずは無料の相談窓口を使ってください。お金がなくても相談できる窓口があります。
法テラス(日本司法支援センター)
国が設立した、法律の相談窓口です。正式名称は、日本司法支援センターといいます。収入や資産が一定基準以下の場合、無料で法律相談を受けられます。1つの問題につき、原則30分ずつ、3回まで無料で相談できるとされています。弁護士費用などの立て替え制度もあります。
利用できるかどうかの収入・資産の基準は、世帯の人数や住んでいる地域によって変わります。最新の基準や申込方法、電話番号・受付時間は、必ず法テラスの公式サイトで確認してください。
弁護士会・司法書士会の相談窓口
各都道府県の弁護士会には、多重債務や借金問題の無料・低額相談窓口があります。司法書士会にも、同様の相談窓口があります。地域によって、電話番号や相談日時、無料になる条件が異なります。お住まいの地域の弁護士会・司法書士会のサイトで確認してください。

消費生活センター
お金のトラブル全般について、相談を受け付けている公的な窓口です。借金の相談だけでなく、悪質な取り立てや、不審な業者とのトラブルについても相談できます。全国共通の電話番号(消費者ホットライン)でつながります。番号や受付時間は、消費者庁の公式サイトで確認してください。
弁護士・司法書士への直接相談
初回相談を無料にしている法律事務所もあります。ただし、事務所によって条件が異なります。依頼する前に、必ず料金体系の説明を受けてください。
窓口の連絡先や受付時間、料金は変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。

相談に行く前に準備するもの
相談に行くときは、次のものを持っていくとスムーズです。
- 届いた督促状、支払督促、訴状などの書類(すべて)
- 借入先の一覧(会社名、借りた時期、残っている金額がわかるもの)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入がわかるもの(給与明細、源泉徴収票、確定申告書など)
- 通帳など、資産や口座の状況がわかるもの
- 家計の状況がわかるメモ(家賃、光熱費、家族構成など)
書類がすべて揃っていなくても、相談は可能です。「わからないものはわからない」と伝えれば大丈夫です。まずは、今持っている書類だけでも持参してください。

取り立て・督促で注意したいこと
- 督促状や支払督促を無視し続けると、選べる選択肢がどんどん狭くなります。特に支払督促の「2週間」の期限を過ぎると、対応の手段が大きく制限されます。
- 「今すぐ払えば裁判にしない」「今日中に振り込んでほしい」といった、急かす電話や訪問には注意してください。正式な手続きには、必ず書面と一定の期間があります。その場で即決する必要はありません。
- 闇金融や、違法な取り立てを行う業者からの連絡は、通常の督促とは異なります。おかしいと感じたら、警察や消費生活センターに相談してください。
- 家族に内緒で進めることは可能ですが、差し押さえが実行されると、勤務先や金融機関に知られる可能性があります。早めに動くほど、影響を小さくできます。
- 複数の借入先がある場合、それぞれで督促の時期や書類の種類が異なることがあります。すべての書類をまとめて、相談時に持っていってください。
差別的な意図はありませんが、借金の問題は誰にでも起こり得ることです。恥ずかしいことではありません。早めの相談が、状況を大きく変えます。
法テラスが使えない場合の代替ルート
法テラスの収入基準を超えていて無料相談を利用できない場合や、近くに窓口がない場合でも、方法はあります。
- 有料でも、初回相談無料の弁護士・司法書士事務所を探す。
- 自治体(市区町村役場)の無料法律相談を利用する。多くの自治体で、月に数回、弁護士による無料相談を実施しています。開催日や予約方法は、お住まいの自治体の公式サイトで確認してください。
- オンライン・電話での相談窓口を利用する。遠方で通えない場合や、外出が難しい場合に活用できます。
- 消費生活センターに、まず概要だけでも相談する。専門家への橋渡しをしてくれる場合があります。
- 支払督促や訴状が届いていて、期限が迫っている場合は、平日昼間に裁判所の窓口(訟廷(しょうてい)事務室など)に直接問い合わせる方法もあります。書式の相談に応じてくれることがあります。
どの窓口も、利用条件や開催状況は変わることがあります。最新情報は公式サイト・窓口で確認してください。

よくある質問
Q. 督促状が来たら、すぐに差し押さえられますか?
A. いいえ。差し押さえの前には必ず裁判所を通じた手続き(債務名義の取得)が必要です。督促状の段階で対処すれば止められる可能性があります。
Q. 支払督促が届いたら、いつまでに対応が必要ですか?
A. 受け取ってから2週間以内に、裁判所へ「督促異議」を申し立てる必要があります。この期限を過ぎると仮執行宣言が付き、差し押さえに進める段階になります。
Q. 督促状と支払督促・訴状はどう見分ければいいですか?
A. 差出人が会社や個人なら督促状、差出人が「〇〇簡易裁判所」「〇〇地方裁判所」なら支払督促か訴状です。支払督促は特別送達で届き、普通郵便では届きません。
Q. お金がなくても法律相談は受けられますか?
A. はい。法テラス(日本司法支援センター)では、収入・資産が一定基準以下の場合、1つの問題につき原則30分ずつ3回まで無料で相談できるとされています。
本記事は2026年8月時点の情報を基に、再起堂編集部が公開前に内容を確認しています。制度名・金額等は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイト・窓口でご確認ください。
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